不動産を売却すると、 ついつい売却価格や手元に残るお金に意識が向いてしまいますが、ちゃんとみておきたいのが翌年の税金です。
不動産売却は、売った時点で終わりではなく、税金まで含めて考える必要がある取引です。譲渡所得に住民税がかかる仕組み|不動産売却時

不動産を売却したからといって、 必ず税金が増えるわけではありません。売却によって利益(譲渡所得)が出たかどうかで課税が決まります。
譲渡所得の基本的な考え方
売却価格 −(取得費+譲渡費用)=譲渡所得
★ 住民税と所得税との違い
所得税と住民税は役割もタイミングも異なります。
● 所得税・・・国に納める税金。確定申告後、翌年3月頃までに納付
● 住民税・・・住んでいる自治体に納める税金。翌年6月以降に納付が始まる
このため、確定申告で税金を支払ったあと、しばらくしてから住民税の通知が届いて驚くなんてこともあるので覚えておきましょう。
なぜ住民税が上がるの?|不動産売却時
不動産売却時にかかる住民税は、 課税対象となる譲渡所得に所定の税率を掛けて算出されます。給与所得などに対する住民税は、原則として一律10%ですが、譲渡所得に対して適用される税率は、不動産の所有期間によって異なります。
長期譲渡所得・・・譲渡した年の1月1日時点で 所有期間が5年を超える場合
短期譲渡所得・・・譲渡した年の1月1日時点で 所有期間が5年以下の場合
短期譲渡所得は税率が高く設定されているため、 購入から短期間で売却した不動産ほど、税負担が重くなりやすくなります。売却の相談を受けていると、「いつ売るか」で税額が変わることを知らないまま話が進んでいるケースも見られます。
★ 住民税が課税されるタイミングは?
不動産売却による住民税は、売却した年の翌年に課税されます。住民税は、前年1年間の所得を基に計算されるため、売却した年は特に変化がなかったけど、翌年になって急に負担を感じるという流れになりやすいです。
特に、相続した家や長期間使っていなかった土地を売却した場合、想定よりも住民税が高くなるケースもあり、資金計画に影響が出ることがあります。社会保険料などへの影響にも注意
不動産の売却益が発生すると、住民税だけでなく、社会保険料に影響が出る場合があります。
国民健康保険や後期高齢者医療保険では、所得金額を基に保険料が算出されるため、売却益によって所得が増えた場合、翌年度の保険料が上がることがあります。
また、扶養に入っている家族が不動産を売却した場合、所得が基準を超えて扶養から外れるケースもあるため、注意が必要です。特別控除があっても「税金ゼロ」とは限らない ?
マイホームの売却では、3,000万円特別控除が使えるケースがあります。ただし、控除を使っても課税所得が残る、他の所得と合算されるといった場合、住民税がまったくかからないとは限りません。「控除があるから安心」と思っていたら、 翌年の住民税で驚く、なんていうこともあります。
不動産売却後の税金対策、何ができる?
不動産売却で住民税が増えた場合、 どんな税金対策があるのでしょうか。
ふるさと納税で「不動産売却後の節税対策」
ふるさと納税は、 本来住んでいる自治体に納める住民税の一部を、他の自治体に振り替えて納める制度です。不動産売却によって住民税が増えた年は、納める住民税の金額自体が増えているため、ふるさと納税として納税するという選択ができます。
ふるさと納税を使えば、 同じ税金を支払う形でも返礼品を受け取れるため、結果として、何もせずに払うより節税になると考えることができます。これは、不動産売却後にできる現実的で分かりやすい税金対策のひとつです。
★知っておきたい注意点
ふるさと納税をしたからといって、必ずしも節税につながるわけではありません。
住民税がほとんどかからない場合
上限を超えて寄附した場合
確定申告をしていない場合
このようなケースでは、 思ったほどの節税にならない場合もあります。
※不動産売却をした年は、ワンストップ特例は使えず、確定申告が必要です。制度の正確な取り扱いについては、各自治体及び国税庁の情報を確認してください。まとめ|不動産売却後の税金対策
不動産を売ると、翌年の住民税が増えることがあります。税金が増えた年は、支払い方を見直す、ふるさと納税制度を活用してみましょう。何もせずに払うより、結果的に負担を抑えられる場合があります。
不動産売却は、売却価格だけでなく、その後の税金対策まで含めて考えると、より「納得できる売却」になるのではないでしょうか。